大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和32(オ)738 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士渡部親一の上告理由について。

原判決挙示の証拠によれば、訴外Dが昭和三一年一月七日金一〇万円の約束手形

に一週間程保証して欲しいと申入れ控訴人(被上告人、原告)の承諾を得、その実

印を受取りその場で金額一〇万円支払期日四月一四日なる約束手形の控訴人名下に

押捺し、右手形保証に必要だとの同人の依頼により市役所より印鑑証明書の下附を

受けるため控訴人は実印を同人に預けたことその他原判示の事実認定を肯認するこ

とができる。そして、原判決が右認定した事実関係の下において、控訴人が同訴外

人に対し代理権を授与したと見るべき事実関係でなく、市役所から印鑑証明書をと

るため実印を預けた一事は未だ法律行為の代理を委任したと言い得ぬから、同訴外

人の代理人であることを前提とする主張は採用し難い旨判断したのは正当である。

されば、原判決には所論の違法は認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

- 1 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!